■Rafven (Orange)
　初日は土砂降りの雨。テントで夜を明かしたがクルマに荷物を取りに行ったり温泉に行ったりして入場ゲートをくぐったのはお昼過ぎ。とりあえず、一休みしようと真っ先に向かったのはオレンジコート。Rafvenはスウェーデンのパーティバンド。ポーグスを賑やかにしたような音楽で、大所帯バンドらしく、オーディエンスを盛り上げるコツをわきまえている。いかにもフジでしか見られないバンドということで、皮切りに見るバンドとしてはとても良かった。

■Chara (White)
　オレンジからヘブンを経て、ホワイトに移動。到着する頃にはすでにライブは始まっていて、聞き覚えのあるメロディ。UAの『11』と並んで、Charaの『Junior Sweet』は十ウン年前の自分の青春時代を彩ったアルバムだった。その2人のアーティストを生で、そして苗場で見られるとは…。

　ただ悲しいかな、明らかに声が出ていない。とくに昔の曲で多用していた高音域がさっぱりで、本人も苦しそう。一方で、新曲は今の声域とあっていてしっくりくる印象。いろんな意味でもう過去とは決別して、”これから”の曲で勝負していった方がいいんじゃないだろうか。

■Jeff Lang (Heaven)
　John Butlerと並ぶオーストラリアきっての技巧派ギタリストにしてメロディメイカー。叙情的なサウンドにドライブ感溢れるリズム、テクニカルなギターなど、完成され尽くしている。このころすでにかなり酔っぱらっていて、半分ウトウトしながら聴いていたけれど、音の輪郭だけはやたら鮮明に印象に残っている。キャンプサイト入り口の岩盤ストアで即興ライブを披露するなど、人の良さも抜群。

■Tortoise (Heaven)
　今回のフジの個人的目玉その１がTortoise。新作はライブ映えする曲が目白押しだっただけに、超が付くほど期待して臨んだ。初っぱなはなんと"Prepare Your Coffin"。この曲、大音量で聴くと最高に気持ちE。

　CDでは想像できないほどの突き抜ける気持ちよさ、クライマックスの高揚感。もうこの1曲で脳みそが溶けてしまった。メンバーは楽器をとっかえひっかえ、つぎつぎとキラーチューンを繰り出す。『TNT』と『Standards』、そして新作の『Beacons of Ancestorship』から満遍なくチョイスしたセットリスト。トリ前ということで、アンコールは厳しいかなと思っていたけれど、オーディエンスの熱心な呼びかけに応じて出てきてくれた。最後はStandardsから、スケールの大きな“Seneca”〜“Eros”で大円団（曲タイトルが素敵すぎ）。見に来た甲斐があった。

■clammbon (Heaven)
　ひさびさに見る生クラムボン、のはずだけれど、この前買った『Re-clammbon 2』のDVDをしょっちゅう見ているので、なんだか久しぶりという気がしない。小雨が降りきる中、やってきた3人。こちらも初めから名曲全開で、「はなればなれ」や「シカゴ」やら「id」「波よせて」やらを披露。それにしてもみんなニコニコと気持ちよさそうだ。『Re-clammbon 2』からは「Folklore」とアンコールの「アホイ！」。なんだかこのライブを表現する言葉がでてこなくて、ただただこの目で見たものをそのまま保存して、いつでも取り出して見ていたい。そんなライブだった。