■くるり (Green)
　いつだったかのフジで見た時以来のくるり。ギターに内橋和久さんを引き連れてくるなど、サポートメンバーが妙に豪華なんですが、初期の3ピースのイメージが強いわたしとしてはちょっと違和感あるかな…。とはいっても、今回のセットリストはまさにフェスティバル仕様で、「ワンダーフォーゲル」「ばらの花」「ロックンロール」「アマデウス」「東京」といった名曲を連発。岸田さんもひたすら気持ちよさそうに歌っていました。10年経ってもくるりはくるり。個人的にはほかの音楽ジャンルに引っぱられずに、ひたすらギターロックを追求してもらいたいと切に願います。

■Kate Nash (White)
　紫のブラウスに金色のミニスカートというキュートないでたちで登場。ちょっぴりふくよかで、けっしてスタイルが良いというわけでもないのですが、はにかむ笑顔や仕草がおてんばなお嬢様という感じで好感度高いです。いざライブに入ればピアノやギターをとっかえひっかえ持ち替えて熱演。古き良きアメリカンポップスに2000年代以降のギターロックのエッセンスを配したアレンジも秀逸。後ろの外国人の集団はみんなで合唱していました。わたしも英詞を歌えればいいのだけど…。

■Ozomatri (Orange)
　アメリカはカリフォルニアからやってきたお祭りバンド。中南米のエッセンスが多分に盛り込まれたサウンドは、まさにパーティ仕様で、「モリアガレー！」とか「オマエラサイコー！」とか妙にうまい日本語で観客をあおり立てます。このときすでにけっこう疲れていたので後ろの方にいたのですが、見ているだけでも楽しめるステージでした。

■Mice Parade (Heaven)
　個人的には今回の一番の楽しみにしていたといっても良い、マイスパレード。トータス〜ジョン・マッケンタイア人脈のいわゆるポストロックユニットです。アダム・ピアースはライブ版同様のヨレヨレTシャツにハーフパンツという出で立ちで登場。カッコなんてまるで気にしていない服装で、中途半端な長髪といい無精髭といい、ポストロックにありがちなストイックさがないところがまたフジの、そしてヘブンの雰囲気に合っています。

　セットリストはベスト盤の『Decade 1 Collection』をほぼ網羅。ピアースは2種のギターを弾き分けるだけでなく、イス代わりにしていた木の箱をパーカッションとして使っていたりと、カタチにこだわらない演奏で楽しませてくれます。直前に出たライブDVDを見てCDよりもヴォーカルが弱いのは若手いたのですが、リズム隊がとてもタイトで迫力があります。「苗場には初めてきたけれど、とてもきれいだね」とMCで語るピアースに思わず拍手。最後の"Ground As Cold As Common"では原田郁子さんもスペシャルゲストととして登場し、ピアースと抱き合うなどフェスならではの一幕もありました。

■My Bloody Valentine (Green)
　まさか、この生ける伝説バンドを生で見られる日が来るとは…。いろんなところでドタキャンが噂されていた彼らですが、しっかり登場してくれました。じつはちょっと色気を出して、ホワイトのブーツィーを見ていたのですが、前座のバンドがちょっとつまらなくて、「それではマイブラでも見るか」とグリーンへと足を運んだわけです。いざグリーンに着いてみると、それはそれはひたすら圧倒されっぱなしでした。

　マイブラといえば『LOVELESS』が有名で（わたしもそれしか持っていないのですが）、いわゆる耽美系というイメージが強かったのですが、ライヴを目の当たりにしてい思ったのは、LOVELESS以外のアッパーな曲がものすごく迫力あるということです。ギター＆ヴォーカルのケヴィン・シールズばかりに目がいきがちですが、、ボトムのリズム隊もかなりすごい。彼（女）らが生粋のライヴバンドであることを納得しました。

　音楽的な傾向でいえば、同時代の音楽シーンでけっして浮いた存在だったわけではなくて、ピクシーズとか、ダイナソーJr、ウェディング・プレゼント、あとライドといった90年代初頭の同世代バンドの渦中にあったバンドであることを実感しました。

　最後は30分近くノイズをぶちまけてオーディエンスを固まらせた後で、みごとに曲を締めて終了。パッと見は淡々とライブを進めていた感じがしましたが、ここまで気合い入れたパフォーマンスもそうないはずです。こりゃ単独の来日公演がきまったりしたら、見てしまうかも知れません。