もやしは買ってから冷蔵庫に入れて１週間ぐらい放っておくと、水っぽくなって酸っぱいニオイがしてきます。

　どうせ１袋30円とかだから、別に捨てたとしてもそれほど実害が出るわけでもないのですが、簡単に捨てたのではすっぱいもやしに負けたようで嫌だったので、思い切って食べてみることにしました。

　もちろん、そのまま食べたのではあまりのすっぱさに耐えられないので、ちゃんと炒めます。ちょうど、しいたけやナスやキャベツが残っていたので、野菜炒めをつくることにしました。

　問題は、いかにもやしのすっぱさを取り去るかです。炒めた程度ではこの強烈な酸っぱいニオイは取れそうにもありませんでしたから、わたしは「毒をもって毒を制す」ことにしました。つまり、別のすっぱい味付けをしようと考えたのです。

　酸っぱさを利用するとなると、一番に思いつくのはお酢を使ったおひたしですが、残念ながらお酢は我が食卓にはありません。そこで次に思い立ったのは、「キムチ鍋の素」です。これなら味付けもできるし、もやしの酸っぱさにも十分に対抗できるに違いない！わたしはそう確信して、もやし、キャベツ、なす、しいたけをフライパンにぶち込んで、念入りに炒めました。

　新鮮なものであれば、しゃりしゃりした歯ごたえも豊かなはずのもやし。そんなもやしも１週間たてば、見るも無惨なへろへろ＆異様な水っぽさを呈していましたが、そんなことなぞ、炒めてしまえば分かりません。また、ちょっと心配だったのは「キムチ鍋の素」とキャベツの相性でしたが、見た目的にはキャベツも白菜も大して変わりませんから、ちょっと変わった白菜だと思えば食えるはずと覚悟して、かなりの量の「キムチ鍋の素」をフライパンに投入しました。

　さて、できあがりです。うほっ、いいかほり！ただ、この「キムチ鍋の素入り野菜炒め」のビジュアルは赤茶色に支配されていて、けっこうグロかったです。ですから、熱いうちに食べないと、きっと食べる気が失せてしまうに違いない、と思っていたわたしは、写真も撮らずにビジュアル的にグロい「キムチ鍋の素入り野菜炒め」を貪り始めました。

　ここまで読んだ皆さんは、この「キムチ鍋の素入り野菜炒め」を食った瞬間、あまりのまずさに吐き出した、とかいったような、痛快な出川哲朗的オチが待っているに違いない、とお思いかもしれませんが、残念ながらそんなことはありません。ふつうに食べることが出来ました。味は決して良くはありませんでしたが、食えないほどの物でもありません。ぜひ皆さんにも試していただきたいと思います。ただこれは例外だと思いますが、わたしはこの後、数日間にわたり、ひどい下痢に悩まされたことを付け加えておきます。