この前チャン・イーモウ監督の「初恋の来た道」を観てきました。
　中国の映画なんですけど、こんなの映画館まで行ってみたのは初めてでした。
　結果から言ってしまうと・・・・・かなり良かった！！
　僕個人的には「アジア映画」っていうものに対して（邦画も含む）今まで あんまり興味がなかったんですけど、これでちょっとは変わりそう。です。

　映画の見方って人それぞれで、それが良いところでもあるんですけど、
僕の場合は「日常では体験できない夢の中のお話」って感じを映画に期待しています 。
　スクリーンに鼻が高くて、足も長くて、ホリも深い自分とは全然異質な人間が出てるってことが重要です。
　自分とは見てくれも、生活文化も違う奴らが出てるってことで、
「夢物語」ってのが成立するんです。
　自分をスクリーンの中の役者にダブらせて、 共感しながら観るってのも重要だし、楽しいことも知ってます。
　が、やっぱりある程度 の「距離感」みたいなものが僕には重要になってます。
　こういうスタンスなので、僕今まで、なかなかアジア系の映画って馴染めなかったのです。

　物語の舞台は結構昔（昭和初期か明治ぐらい）の中国です。
　しかもかなり田舎。
　みんなモンペみたいなのを履いてるし、火を起こすのも「かまど」でやってます。
　戦時中の日本とかもこんな感じだったんでしょう。「ＮＨＫスペシャル」とかに 出てくる「昔の日本」のイメージ。
　出てくる人たちもほとんど日本人面。
　喋らなきゃ区別がつけられないので、距離感あんまりなし。
　感情移入は比較的容易です。
　街の方に行けば結構近代的な生活のようですが、ここの地域は本格的な田舎です。
　そんなド田舎を舞台にした、若かりし日の父と母の恋愛話ってのがおおまかな筋です。

　主演はチャン・ツィーイー（←ツーイーが正しいらしい。これから必ず有名になるの で この際みんなで正しく覚えよう）。
　正真正銘の美人です、っていうか美少女か。
　彼女は最近表舞台に出てきたそうです。それまでは中国国営舞踏歌劇団（←適当）みたいなとこで女優になるための訓練を受けていたそうです。
　中国の秘蔵っ子ってとこなのか。
　「グリーン・ディスティニー」でかっこよくグルングルン飛び回っていたあの子です 。
　あんな激しいアクション物をこなし、ベタベタ恋愛物もここまでやれるんだから 実力十分！と言って良いでしょう。
　良い訓練受けてるぞって印象を受けます。

　若いころの母（ツーイー）と若いころの父の出合いと恋愛の回想がメインなんですが 、これがまたベタベタです。
　今どきこんなの小学生でも目を覆うぞってぐらい強烈です。
　小さい田舎の村に母は住んでいて、そこに街から「先生」がやってくる。
　この先生ってのが父です。
　馬車に乗ってやってくるんですが、初めて会ったその瞬間に母（ツーイー）は恋に落ちてしまうというわけです。
　なんとまぁ単純。 村にはあまりにいい男がいなかったのでしょう（事実いないように見える）。
　でも！この父も相当不細工！
　本格的に。
　最初出てきた時から「どこかで見た顔だなぁ」 と思いましたが、謎はすぐに解けました。馬です。
　やつが乗って来た馬車を必死こいて引っ張ってた「馬」です。
　超そっくり、つまり不細工。

　こんなふうに書いてると、「これ面白かったのぉ？」って言われそうですけど、ちゃんと面白かったんですよ、実際。
　むしろかなり良かったんです。

　何がそんなに良かったのか。
　それは間違いなくチャン・ツーイーのかわいらしさ。
　そして彼女の純愛。これに尽きるんです（「かわいい」とか「かっこいい」ばっか りだけど・・・）。
　撮影の方法にしても、ツーイーの顔のアップを「ドン！ドン！ドン！」って感じで、
「これでもかこれでもか感」は否めません。
　アイドルとかのプロモーションヴィデオみたいな感じでもあるんですが、なぜか全く嫌みがない。
　むしろ爽快。
　なぜなら彼女は美貌とともに優れた演技力も備えているからです（←学校で鍛えた）。
　ホントに繊細な表情。（喜び、悲しみ、怒り、不安、焦り・・全て最高レベル） だから観客も胸焼けなんてするわけはないのです。
　ふと思ったんですけど、この映画は男性向けのような気がしてなりません。
　言葉では上手く説明できないんですけど、そういう印象を受けました。
　チャン・イーモウ（＝男の代表）からみた理想の女性像みたいなのを感じたのです。

　愛する男性のために献身的であり、澄みきった美しい心。
　しかもかわいい。
　こんな女の子は青年雑誌とかの「彼女にしたいタイプ」の堂々一位になります。
　みんな「こういう女の子はいるわけない」と思っていても実は信じたいのです。
　いるって。
　僕らのおばあちゃんの世代にはこういうタイプの女性もいたのかも知れませんが、
はたして我々が生きる現代にいるのだろうか・・・いねぇだろうな。

　古き良き時代のことを思い、「あぁ、昔は良かったなぁ」なんてたまに思ったりしますけど、
この映画を見た後の感想は正にそんな感じなのです。
　打算や下心なんて一切なく、相手のことを純粋に愛すること（なんか恥ずかしいけど）の素晴らしさ。
　なんて素敵なのかしら！
　現代において失われつつある大切なモノをこれ以上ない形で表現してるって思います 。

　なんか、適当な話で長くなってしまったのでこれぐらいにします。（もっと書きたい けど）
　とりあえず男性は絶対見て下さい！（←ちょっと「おすぎ調」）
　「俺は別に彼女なんていらねぇ。一匹狼だからな」っていうひとは特にお勧めします。

　映画館を出た後「彼女が欲しい！」ってなりますよ、きっと。

おしまい