この作品は言わずと知れたビクトル・ユーゴーの原作をビレ・アウグスト監督がリメイクしたモノです。

　既に多くの監督がやってる試みなので目新しさはないけれど、数あるリメイクモノの中では秀逸だと思います。

　主演のリーアム・ニーソンに加えジェフリー・ラッシュ、ウーマ・サーマン、クレア・デーンズなどといった蒼々たる顔ぶれが脇を固めています。キャスティングが本当に素晴らしく、監督の人選の才能がうかがえます。

　それぞれかなり個性的な俳優達なのですが、特にジェフリー・ラッシュが素晴らしい！ かなりのキャリアを経て培われた演技力は脱帽モノです。

　彼は「シャイン」（スコット・ヒックス）で主演をしていてかなりの評価を受けていますが、僕個人的にはこの人は脇役で本当の「味」を出す人だと思っています。

　（「エリザベス」のウォルシンガム役のように）また、キャリアの多くを「ダークな役」に費やしているため、彼自身にそういったオーラのようなモノが漂っています。これが武器かな。

　次に、女優について話したいと思います。この作品にはウーマ・サーマンとクレア・デーンズという２大スターが出演していますが、これまた見所と言えます。

　クレアはまだ小娘なので、「演技に期待してもムダ」っていうのが個人的な意見です。あの「典型的アメリカ人小娘」的な笑顔はあまり好きになれないのです。まぁ、ファンの人もいるだろうからあんまり変なことは言わないで置くけど。

　クレアに対して、ウーマは正にスターといった感じ。既に「雰囲気」を持っています。彼女の「肌」は透き通るように美しく、その「目」は憂いを帯びながらも強い意志を感じさせます。

　こういう人を本当のスタート呼ぶのだなぁ、と実感します。（とはいっても、かなり主観が入ってるので参考にはならないかなぁ）　まぁ、ここいらへんがこの作品の「役者を見る」キモだと思います。

　ネタバレになるので簡単に書きますが、この作品は「人生の教科書」的な要素を持っています。

　特に男性にお勧めしたいと思います。しかも若者に。ジャン・バルジャンという男を通して、「男としての生き方」を学ぶことができます。

　今後、男性として人生を送っていく過程において、男として、夫として、親としての決断を迫られることが予想されますが、その抜き差しならない状況においてパニックに陥って「やべぇ、どうしよう！」って事にならないように、今のうちからある程度考えをまとめておくのも悪くはないと思うのです。

　そろそろ自分の人生プランを建てるのも悪くはないんじゃあないでしょうか。すごく個人的なことになるので自分でゆっくり考えることをお勧めします。

　ちなみにこの作品では「愛」がテーマになっています。欧米の作品にはキリスト教的な「愛」をテーマにした作品が数多いのですが、これもそのひとつです。自己犠牲に基づいた「与える愛」。「こんな聖人みたいな生き方絶対にできねぇ」っていうのが多数派でしょうが、本来人間なんてそんなモノ。逆にそういった部分こそ人間の魅力なんじゃないかと思ったりもします。

　完璧な人間なんてそうはいない。でも、「そうなりたい」または、「そうなろう」とする意志なり努力が大切なんじゃないでしょうか。こういう映画を見ていると本当に良く考えさせられます。

　映画には単なる「娯楽」としてかたずけるにはもったいない魅力があると思います。終わり